2017.04.21

医院マネジメントについて③

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■動機付けに関して

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医院マネジメントは組織の自発性を促しますが、スタッフが意欲的に業務に取り組んでもらうための"動機付け"に関してお話します。

※以下ではスタッフを勤務医、衛生士、受付その他を含む院長以外の従業員全てを示すものとします。

・理論

組織行動学でモーチベーション(動機付け)を考えるにあたり、もっとも有名な理論として、マズローの欲求段階というものがあります。

<マズローの欲求5段階説>

①自己実現欲求:自己の存在意義を実現する欲求

②自己尊厳欲求:他者から尊敬されたいという欲求   ※↑自立革新型欲求

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③認知評価欲求:他者から評価されたいという欲求   ※↓組織順応型欲求

④安全確保欲求:危険から身を守りたいという欲求

⑤生活整理欲求:衣食住の欲求

(『グロービスMBA組織と人材マネジメント』,佐藤剛)

上記はマズローの説を簡単にまとめたものですが、人材マネジメントの分野では①、②と③~⑤をわけ、前者を自立革新型欲求とよび、仕事の達成感や責任範囲の拡大をもって満たされる欲求と定義されています。

対して、後者の③~⑤を組織順応型欲求とよび、労働環境や条件(給料・拘束時間)などの改善によって満たされる欲求としています。

古典的には①~⑤の階層的な欲求が下層より一段階ずつ満たされるものとして捉えられていました。

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不満の解消≠満足度向上

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しかし、組織順応型欲求(③~⑤)が満たされても、業務に対する不満は解消されるものの、仕事に対する満足度は満たされません。

従いましてスタッフの仕事に対する満足度を高め、能動的に取り組んでもらうためには、自立革新型欲求(①~②)に応対していかなければなりません。

そして昨今の研究では、これらは必ずしも段階的に発現(③~⑤が満たされた後に①~②を欲する)とは限らないという点が指摘されています。

つまり、自主性をもってスタッフに業務に取り組んでもらうためには下層である⑤の欲求から順番に応対していくのではなく、①~⑤全ての欲求に対して漸進的に応対していく必要があるのです。

まとめますと、自主的に行動する自立型の組織を形成するためには、労働環境を整え、スタッフの不満を減らすと共に、仕事を任せることで権限与え責任範囲を拡大することで、スタッフが仕事に対してやりがいを見出すことの出来る環境及び組織風土を築く必要があります。

・実践(役割の明確化と分担)

役割を分担することは、スタッフのモチベーションを高める手法として手軽に行える取り組みです。

日々医院で行われる行動をそれぞれ分担し、責任範囲を拡大しつつ、責務を果たすために必要な権限を持たせることで、スタッフが日々の業務にやりがいを見出し、業務の質の向上が見込めます。

以下に役割分担の例をいくつか挙げさせて頂きます。

広報担当責任者:
医院の外部(患者さん)に対する広報を責務とし、チラシやホームページのデザインを決定、イメージアップの計画を立案する。

衛生管理責任者:
医院の衛生管理を保つことを責務とし、院内感染対策や清掃方法を確立し、各スタッフに指示をする。

在庫管理責任者:
材料や物販品の発注・在庫管理を責務とし、適正在庫の追求及び医院とディーラーさんの窓口を務める。

物品販売責任者:
院内で取り扱っているホームケア用品の売上向上を責務とし、展示方法やポップ作成、その他売るための方策を考え他のスタッフにフィードバックする。

教育指導責任者:
新人の教育や院内全体の知識向上を責務とし、指導や教育方法の提案、勉強会のセッティング、取り仕切りを務める。

上記はあくまで一例ですがこのように責任の所在をはっきりさせると同時に、一定の権限を与えることで、医院に"自発的な行動"を促す風土が根付きます。

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理念と医院マネジメントの関係性

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さて、ここまで医院マネジメントの基礎となる理論とその簡単な取り組み方についてご提案させて頂きましたが、文頭で申しあげましたとおり、医院マネジメントの最終的な目的は"理念達成"です。

定期管理型予防歯科医院が"理念"を達成するためには、患者さんの継続率を高めるアプローチをスタッフ全員でチームとして実践していかなればなりません。

どんなに努力して医院マネジメントに力を入れても、方向性が異なっていたら、最適な結果を得られないばかりか、組織の求心力は弱まります。 この方向性を決定づけるのが医院の理念です。

というわけで、次回は"理念"について詳しくお話させていただきます。

参考文献
グロービスMBA組織と人材マネジメント,佐藤 剛, 2007年、ダイヤモンド社

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